これは、小説『冬のオペラ』の舞台を旅したお話しです。
こんにちは、月子です。
登場人物の姫宮あゆみちゃんと同世代です。
旅の一冊
『冬のオペラ』
北村薫(著/文) おーなり由子(イラスト)
角川文庫
定価 600円+税
名探偵はなるのではない、存在であり意志である――名探偵巫弓彦に出会った姫宮あゆみは、彼の記録者になった。そして猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人は、哀しくも残酷な三つの事件に遭遇する……。
プロローグ
「蘭と韋駄天」は、『冬のオペラ』に収録されている短編推理小説、1992年の『別冊婦人公論』春号に掲載され、翌1993年に単行本として刊行されました。
真実が見えてしまう名探偵、巫(かんなぎ)弓彦と、その記録者である姫宮あゆみが出逢う哀しい三つの事件。
その二つ目の事件が、「蘭と韋駄天」です。
小説の舞台は、今から約30年前の御茶ノ水と上野。
当時の面影を探しながら、「蘭と韋駄天」の舞台を旅します。
『冬のオペラ(蘭と韋駄天)』の舞台
御茶ノ水駅
旅(事件)のはじまりは、御茶ノ水から。
小説では、上野の喫茶店で事件の内容を聞いた名探偵とあゆみちゃんが、JRを使い、御茶ノ水駅まで移動しています。
上野からの主なルートは2通り。どちらも時間的に、たいして変わりはありません。
ルート① JR上野駅ー<山手線or京浜東北線>-JR秋葉原駅ー<総武線>ーJR御茶ノ水駅(聖橋口)
ルート② JR上野駅ー<山手線or京浜東北線>-JR神田駅ー<中央線>ーJR御茶ノ水駅(聖橋口)
ニコライ堂
JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩2分。
本日は、小説の中と同じような薄曇りの空が広がっています。
紅梅坂をくだり、二人と同じように、通りを隔てて、ドームの薄水色を眺めます。
ドームを十分に記憶したら、次の目的地へ向かう前に寄り道タイム。
寄り道
珈琲ショパン(CHOPIN)
事件の発端にもなった“ニコライ堂の前の紅茶の専門店”のモデルは、実在していたようですが、現在はありません。
というわけで、代わりにこちらで一休み。
珈琲ショパン(CHOPIN)は、クラシックが流れるレトロな喫茶店。
人気のアンプレスは、午前中で売り切れることもあるらしいので、どうしても食べたい場合は、早い時間の来店が吉。
御茶ノ水 小川軒
小説の中で、アリバイに使用された“おいしいクッキーの売っているお店”とは?
具体的な店名が記されていないので、勝手に推理してみました。
御茶ノ水でクッキーと言えば、小川軒のレイズンウィッチ。
クリームとラム酒が効いたレイズンをソフトなクッキーでサンドした、間違いない商品。
根津駅・言問通り(ことといどおり)
寄り道をした楽しんだ後は、小説の世界へ戻り、新御茶ノ水駅より千代田線で根津駅まで移動します。
根津駅一番出口の目の前の根津一丁目の交差点からは、言問通りを上野方面に進みます。
暖簾の下がったせんべいのお店
瓦屋根のコーヒー店
“パン店という看板のペンキの嬉しいパン屋さん、焼き芋を店先でうっている八百屋さん‟は、残念ながら見つけられず。
上野桜木
瓦屋根のコーヒー店を過ぎて、すこし歩くと…
先生は立ち止まり、通りから右手に入る道を示した。
立ち並んだ電柱の間、ここから、本当にアレが見えるのです。
そして、電柱には、ここが上野桜木であることを示す看板。
小説のとおりであることが、嬉しすぎる!!!
近づけば近づくほど、見えなくなる青いドームを目指し進みます。
表慶館
こちらが、ドームの正体「表慶館」。
表慶館は、東京国立博物館のひとつであり、敷地内はチケットを持っていないと入ることが出来ません。
しかし、ここからでもドーム以外は、ニコライ堂とはまったく違った外観であることがわかります。
上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)
東京国立博物館正門の正面にある、大噴水の周りには、大勢の修学旅行生。
噴水の横で若い男の人は踊っていなかったし、もちろん、その筋の人らしい和服のおじさんもいませんでしたが、この日は、少し離れた広場に、マジックを披露するパフォーマーが数組いました。
そして、真相を解明した二人は、事件解決のため、東上野のマンションへ向かうのですが…
西郷さんの前で、そんな二人と別れ、今回の旅はおしまいです。
エピローグ
コース
JR御茶ノ水駅…ニコライ堂…珈琲ショパン(休憩☕)…御茶ノ水小川軒…新御茶ノ水駅ー根津駅…上野桜木…表慶館…上野公園(噴水・西郷像)…JR上野駅
…徒歩 ―電車
所要時間
約3時間(休憩含む)
費用
合計 2,028円
【珈琲ショパン】ブレンドコーヒー・アンプレス 1,000円
【御茶ノ水 小川軒】レイズンウィッチ5個入り 850円
【交通費】新御茶ノ水~根津駅 178円
あとがき
ブログをはじめるにあたり、最初の一冊は、小説『冬のオペラ』と決めていました。
以前から、繰り返し何度も読んでいる大好きな小説。
今回、名探偵とあゆみちゃんが見た同じ景色を見てみたい、という思いがようやく叶いました。
上野桜木から、あの景色が目にした時、
旅に本というエッセンスが加わることで、何気ない景色が、ドラマチックなものへと変わるのだということを実感しました。
旅した日 2023年5月26日(金) 曇り時々晴れ